キッチンの片隅で育てる“もやし”


お庭もいらない!時間もかからない!お手軽野菜栽培

私が住んでいるアメリカの街では母の日頃までは平気で雪が降るのですが、母の日が終わった途端に皆ガーデニングを始めます。スーパーマーケットには、たくさんの花や野菜の苗が並び、一斉にお庭の手入れを始めるのです。

一気に気持ちのいい陽気になるせいもあり、私ももれなく何か植物を育てたくなってしまうのです。でも、我が家はアパート暮らしでお庭がなく、プランターで細々とハーブなどを育てています。

「お庭がなくても何か手軽に育てられる植物はないかな?できれば食べられる植物…」と、色々考えていたら思い出しました‼︎

以前から“もやし”を育てたかったのです‼︎

アメリカでもアジア系スーパーマーケットではもやしを手にいれることができるのですが、日本で一般的に売られているパックの10倍ほどの袋にパンパンに入っていて、足の早いもやしをそんなに食べ切る自信がなく、あまり買っていませんでした。

食べ切る分だけ育てられたらいいな、と以前から考えていたので、これを機会にもやしを育て始めることにしました。

ということで、今回はキッチンの片隅でしっかり育つ“もやし”の育て方を紹介します。もやしは栽培を始めてから一週間もあれば収穫できてしまうお手軽さも魅力です。

基本の育て方と、最近SNSで話題の育て方を2種類紹介し、それぞれの特徴を解説していきます。ぜひ参考にしてください。




“もやし”ってそもそもどんな野菜なの?


まずは、“もやし”について少し紹介していきます。

“もやし”の語源は諸説あるようですが、『萌やす(=発芽させる』というのが一番有力な説のようです。一見頼りなさそうな“もやし”ですが、実は栄養価が高く食べると色々が期待できます。

もやしの栄養

もやしはいろいろな栄養素をふんだんに含んだヘルシーな食品です。
種に蓄えられたデンプンや脂肪、タンパク質など、潜在的な栄養素が加水分解されて、もやしになる段階でエネルギーを放出しながら細胞や組織を作って成長するという特徴があるのです。
さらに、新陳代謝をする過程で、それまで含まれていなかった新しい栄養素が合成されていきます。
(中略)
もやしは種子本来の栄養素に加えて、発芽・成長しながら、あらたに別の栄養素が生成するという特殊な野菜です。
低カロリーで健康に役立つ様々な栄養素を含んでいるので、ヘルシーな食品なのです。
Kana
Kana

“もやし”と一口に言っても、実はどの種子から育てるかによって色々な種類があり、風味も変わります。


⑴ダイズ
豆もやしの代表的存在。シャキシャキ感があって炒め物にぴったり。 
⑵グリーンマッペ
市販の緑豆もやしのこと。炒めてもゆでても豆の風味が引き立つ。 
 ブラックマッペ
主に関西で食べられる別名黒豆もやし。細くて歯ごたえがあり、味にコクがある。 
⑶白ごま
独特のほろ苦さがある。発芽にやや時間がかかる。栄養素が豊富。 
⑷アルファルファ
シャキシャキした食感が魅力。馬の飼料の一種で別名ムラサキウマゴヤシ。 
⑸ベニタデ
刺身のツマでおなじみ。ヤナギタデの変種。ピリッとした辛みがある。


色々なもやしがありますが、今回は一般的な “緑豆(Mung beans)” を使ってもやしを育ててみました。

緑豆(りょくとう)とは、マメ亜科の植物で、日本語名「八重生」(ヤエナリ)の種子のことです。大きさは小豆くらい、色は緑色です。
インド原産で東アジアや南アジアなどで栽培されています。
中国では春雨の原料にしたり、発酵させて「豆汁」として飲んだり、そのほか料理やお菓子の材料にしますが、日本ではこの豆をもやしの原料に用いてそれ以外の食材とはしません。
(以下略)
Kana
Kana

中華料理だけではなく、インド料理にもよく使われるアジアではポピュラーな食材です。



日本国内では“もやしの種”も販売されていますが、中華料理やインド料理食材を取り扱うお店では、大きなパックで販売されていてお買い得です!


ちなみに私は、2LB(907g)のオーガニック緑豆を$17.99で購入しました。
(2020年5月18日レートで¥1,930)

スーパーマーケットで販売されているもやし1パック分を作るのに、大さじ1と1/2程度の緑豆が必要になります。


試しに重さを測ってみると、緑豆(大さじ1と1/2)の重さは20g前後でした。つまり、一袋(907g)から45袋分ほどもやしを作れる計算になります。




まずは基本の育て方を理解しよう!


では、まずは基本的な育て方から紹介していきます。トレーに種を置いて育てる方法もありますが、今回は水切りしやすい瓶を使った方法で栽培しました。

〈 用意するもの 〉

・緑豆(または“もやしの種”) :大さじ1
・ガラス瓶(口が広いもの) :1つ
・ネット(またはガーゼ) :瓶口よりひとまわり大きいサイズ
・輪ゴム
・箸 

Kana
Kana

緑豆の量は目安です。
瓶の底に緑豆が1〜2段置ける程度に量を調整してください。
多すぎると、豆が途中で腐ってしまいます。



⑴ 瓶に洗った豆を入れて、十分浸かる量の水を入れる。


ザルに入れた豆を流水で十分洗い、欠けた豆を取り除きます。洗った豆を瓶に入れて、水を入れて一晩日の当たらない所に置いて吸水させます。吸水が終わったら、水を捨てるので、この時点で瓶の口にネット(ガーゼ)を張っておきましょう!

Kana
Kana

ここでのポイントは、以下の2点です。

・水は水道水を使う。(腐敗を防ぐため)
・豆を流水で洗ってからは、極力豆を素手で触らない。(雑菌の繁殖を防ぐため)




⑵ 一晩経ったら水を捨て、さらに新しい水で豆を洗う。


吸水が終わり豆が膨らんだら、古い水を捨てて新しい水で豆を洗います。その際は、ネット(ガーゼ)を外さないまま水を入れ替えましょう。


早い場合だと、一晩(2日目)で上の写真のように少し根が出てくる場合もあります。そうすると、表面の薄皮が破れて豆から取れ始めます。取れた薄皮を見つけたら小まめに箸でつまんで捨てましょう。

Kana
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ここでのポイントは、以下の2点です。

・薄皮はできるだけこまめに取り除く。(腐りやすくなるのを防ぐため)
・洗った後は、瓶底に水が溜まらないようにしっかり水を切る。(底の方が腐らないようにするため)



⑶ 2日目からは2回/1日、水で洗う。


2日目以降は、1日に2〜3回は水で洗い、しっかりと水を切って日の当たらない場所に置きましょう。もやしが伸び始めたら、瓶に水をたっぷり入れて、豆の上下をひっくり返すイメージで洗いましょう。

Kana
Kana

ここでのポイントは、以下の2点です。

・戸棚の中など日の当たらないところに置く。
(置き場所がない場合は、タオルなどでくるむ)
・水で洗う際は、水の力で豆をかき混ぜるイメージで洗う。
(ずっと底にあるままのもやしはすぐ腐ってしまう)

・とにかく豆を手で触らない。(雑菌繁殖防止)




⑷ 1週間程度で収穫する。


1週間程度を目安に収穫します。本来ならば葉が出てくる前に収穫した方がもやしの香りが強いのですが、家庭で栽培する場合は、もやしの成長具合を見ながら、多少葉が出てきても気にしなくて大丈夫です♪

豆・葉が付いたままでも美味しく食べられます。

ちなみに、大さじ1の緑豆からこの方法で、半パック程度のもやしを収穫できました。

Kana
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この栽培方法をもっと詳しく知りたい方は、こちらのサイトがオススメです。

NHKらいふ – もやしを栽培してみよう


瓶から出したら優しく水洗いし、根だけ取って調理します。(お好みで芽や豆もとっても良いですが、だいぶボリュームが減ってしまいます。)

1週間も経つと、豆の部分が赤く変色してくる場合があります。腐ってしまった訳ではないのでご安心を!!日光に当たることで、もやしは赤く変色してしまうようです。

日々のお手入れの時にどうしても少しずつ光を浴びてしまうので、ある程度はしょうがないですね。火を通すと赤みが無くなります。


もやしは、火を通しすぎてしまうと含まれているカリウムとビタミンCの70〜80%が溶け出してしまうと言われています。生で食べるのがベストですが、もやし特有の匂いがあるので、さっと火を通して食べましょう!

Kana
Kana

自宅栽培のもやしは市販のもやしに比べてかなり細いので、加熱は最小限にしましょう!
炒める場合は余熱でさっと混ぜる程度にし、茹でる場合は沸騰したお湯に5秒程度潜らせれば十分です。




SNSで話題の“もやし”の育て方を実践!


もやしの栽培について色々と調べていると、ちょっと気になる栽培方法を見つけました。SNSで見てみると、この方法を色々な人が試して成功しているようなのです!

YouTubeでも詳しく解説されていましたので早速見てみましたが、確かにすごい!



ところが、専用の道具が必要だったりと、少し残念なポイントがありました。なので、動画を参考に自宅にある道具で挑戦してみました♪

Kana
Kana

本格的にもやし作りを極めたいあなたは、ぜひ専用の道具を買ってみてもいいですね♪


〈 用意するもの 〉

・緑豆(または“もやしの種”) :大さじ1と1/2(もやし一袋分)
・底が平らなザル :3枚
・ペットボトルキャップ :1つ(網が大きい場合は複数)
・ボウル(垂れてきた水を受けるため) :1つ
・平皿(網に入る程度の大きさ) :1枚
・キッチンペーパー :適量
・箸 

Kana
Kana

今回は、もやしを2段育てる道具を紹介しましたが、同じようなサイズの網をいくつも持っている場合は、3段重ねで育てることも可能です。



⑴ ボウル・豆を乗せた網・キッチンペーパー・皿を重ねていく。


① ボウルにペットボトルキャップを置く。
(ザルの底が落ちてきた水に浸らないように浮かせる。)


② ペットボトルキャップの上に乗るようにザルを1枚おく。


③ 乾燥防止のために、②のザルの上にキッチンペーパーを敷く。


④ さらに1枚ザルを重ね、その上に洗った豆を敷き、濡れたキッチンペーパーを敷く。
(豆が重ならないように気をつける。)


⑤ ④の上に、さらに1枚ザルを重ね、その上にまた洗った豆を敷き、濡れたキッチンペーパーを敷く。


(この時も豆が重ならないように気をつける。)
⑥ ⑤の上に平皿を置き、重石にする。

Kana
Kana

3層育てたい場合は、ザル・豆・キッチンペーパーをもう1セット用意しましょう。





⑵ 全体をタオルで包んで、日の当たらない場所に置く。


乾燥防止と光を遮断するために、全体をタオルで包んでおきます。その後は、毎日2回ずつ網一段ずつにキッチンペーパーの上から水道水をかけます。

Kana
Kana

キッチンペーパーに豆の色がついてきたら取り替えましょう。
また、取れた薄皮は箸でこまめに取り除きましょう。


重石を置いたおかげで、まっすぐ上に伸びていきます。また、基本の育て方と比べると太いもやしに育ちます。





⑶ 1週間程度で収穫する。


1週間も経つと、上の写真のようにまっすぐと伸びたもやしがたくさん収穫できます。基本の育て方と比べても、量がかなり多く感じました。


もやしも立派に成長した分、根もかなり太く長く成長していましたが、根を取っても市販のもやし1パック以上は余裕で収穫できました。

我が家3人だと、モリモリ食べられそうなもやしが収穫できたので、久しぶりにみんな大好きなナムルを作りました♪4歳の息子も、このナムルならばくばく食べてくれます。

〈 もやしとワカメの簡単ナムル 〉

① もやしを熱湯で5秒ほどゆで、ザルにあげてしっかりと水分を飛ばす。

② 乾燥ワカメもお湯で戻しておき、細かく刻んでおく。

② ダシダ(韓国の牛粉末ダシ)、塩、ごま油、ごまと和えて出来上がり♪

Kana
Kana

ダシダは、以前「食べるラー油」のレシピを紹介した際にも登場してきました。
試行錯誤の末にできた!最高に美味しいご飯のお供。
韓国人の友人から教えてもらって以来、我が家で常備している万能調味料です♪




結局、どの方法で育てるのがベストなの?

今回は、「基本の育て方」と「重石を乗せる育て方」を紹介しましたが、両方試してみると、それぞれ長所短所が見えてきました。

「基本の育て方」「重石を乗せる育て方」
水やり(毎日の手入れ)
水を注ぎ捨てるだけ

毎回ザルを重ね直す
薄皮除去
瓶の中で箸を使う

見つけやすく取りやすい
もやしの成長
まっすぐ伸びない

太く長く育つ
根の処理(ひげ根取り)
ヒゲが短く細い

ヒゲも太く長く育つ
子供と楽しむ
成長が一目で見やすい

成長が見えにくい


2つの育て方を私の主観で比較してみましたが、一長一短でした。

もやしを美味しくたくさん食べたいあなたは「重石を乗せる育て方」がオススメです。逆に、ガーデニング感覚で成長を毎日見て楽しみたいあなたには「基本の育て方」がオススメです。


ちなみに、家にあったサラダスピナー(野菜水切り器)でも試してみました。


重石(平皿)を上から乗せてみたのですが、ザルほど網目(水切り穴)が細かくないため、まっすぐ上には伸びてくれませんでした。感覚としては、「基本の育て方」と成長具合は変わらなかったように感じました。

ただ、容器が大きい分たくさん育てたい方は試してもいいかもしれません。



今回紹介した2種類の育て方以外にも、皆さん色々な方法でもやし栽培を楽しんでいます。

ただ、せっかく買えばお買い得なもやしを色々道具を買って育てるのもどうかな…と個人的には思うので、ご家庭にあるもので楽しく育てられる方法を紹介しました。

育てたもやしを食べて驚いたのが、買ったもやしよりシャキシャキ感が強い!ということです。

火を通すと「しなしな」になりがちのもやしですが、自家栽培の物は火を通しても歯切れがよく、バクバク食べられました。息子も成長を見守った分愛着があったようで、全部残さず食べてくれました。

もやしならお庭がなくても楽しく育てられます!また季節を問わず1週間程度で収穫できるのも嬉しいですよね♪ぜひみなさんも美味しい&癒される“もやし栽培”にチャレンジしてみてください。



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